2011/09/25

政府科学技術顧問の創設について

最近、「政府科学技術顧問」というポストの創設に関する議論がなされている。
民主党科学技術イノベーション推進調査会の「基本的な推進方針中間とりまとめ」では、総合科学技術会議を改組して「科学技術イノベーション本部(仮称)」を設置することが提言されたうえで、次のように「政府科学技術顧問」の創設が提案されている。

「科学技術イノベーション戦略本部(仮称)に対して科学技術に関する専門的な助言を一元的に行う政府科学技術顧問を創設すること」
www.dpj.or.jp/download/4133.pdf

 これは、東日本大震災および福島第一原子力発電所事故への対応をめぐって、科学者による政府への助言のプロセスに混乱がみられたことなどを踏まえ、政策形成の過程における科学的助言のあり方を立て直そうという意図に基づく提言である。

政府科学技術顧問の創設は、一見して妥当な提案のように見える。
米国には大統領科学顧問、英国には政府主席科学顧問がおり、同様のポストを日本にも創ろうということである。

だが、政府に対する科学的助言の組織体制は、国ごとの政治文化や科学者コミュニティの文化に即したものでなければ機能しない。
ドイツのように、政府科学技術顧問のようなポストがない国もある。

したがって、日本に本当に政府科学技術顧問のようなポストを創設することがが適切なのか、少し立ち止まって考えるのが良いと思う。
結果的に、米国や英国のように、日本でもそうしたポストがあったほうが良いという結論になることは十分考えられる。個人的には、そちらの可能性のほうが高いと思う。
だが、どうしてもやめてほしいのは、従来のように、一見もっともらしい欧米の仕組みにすぐに飛びつくことだ。真に問題の本質を理解したうえで決めてほしいと思う。

0 件のコメント:

コメントを投稿