以前から読みたいと思っていた、マーシャ・ガッセン『完全なる証明』を読み終えた。
ポアンカレ予想を証明した天才数学者、グレゴリー・ペレルマンの生い立ちや、彼がその大偉業を成し遂げた後になぜあらゆる賞を拒絶し、また社会との接触をほとんど絶ったのか、といったことについて書いてある本だ。
ポアンカレ予想の証明は、今世紀初頭、米国のクレイ研究所が数学の7つの未解決問題の1つとして100万ドルの賞金を懸けていたほどの難問である。
ペレルマンは、2002年にポアンカレ予想の証明を発表したのであるが、2006年に数学界最高の栄誉フィールズ賞を与えられるも辞退し、さらにクレイ研究所による100万ドルの賞金も辞退した人物である。
現在は、母親の年金で細々と暮らしていると言われている。
『完全なる証明』には、スターリン時代のソ連における数学研究・数学教育の風景なども盛り込まれ、非常に興味深い読み物になっている。
また、ペレルマンがポアンカレ予想を証明できたのは、彼の独創力や想像力のおかげではなく、強靭な頭脳のおかげであったという著者の見方は非常に鋭いと感じた。
だが全体的に、リサーチの綿密さや文章の工夫の面で、もう一押しと感じる部分もあった。
また、個人的には、次の見方にやや疑問を感じた。
すなわち、数学者の世界における最上位の知的エリートは、新しい地平を切り開き、かつて誰も問うたことのない問いを発する人であり、それより一段低いランクは、そのような問いに答える方法を考え付く数学者であり、三つめのランクに属するのは、緻密で、忍耐強く、最後まで証明を成し遂げる人である、という見方である。
ペレルマンは三つ目のランクに分類されるが、8年もの歳月を賭して最高の難しい問題に取り組み続けた彼が一番下のランクになるというのはやはり違和感を感じた。
そう単純に考える必要もないのかもしれないが、私としては、ひたむきに難問に挑み続ける姿は実に尊く、美しいものに見え、それが一番下のランクという位置づけにはどうしても納得しかねるのである。
ポアンカレ予想の証明については、NHKでも番組が組まれたり、他の本でも紹介されたりしている。
最近の日本では、中高年男性に数学好きが増えているという話もあるようだ。あまりにも理の通らない時代にあって、理が通る世界にしばし浸りたいという欲求もあるのではないだろうか。
「物理と数学のかきしっぽ」
返信削除っていう本で
リーマン予想の同値問題
のひとつ
の証明に成功しました!!
The Answer of the Axiom Equivalent to Riemann Hypothesis
返信削除ていう名前の論文として
フリーの学術誌に載せました
見てみてくださると嬉しい
なかみが変わっているので