2011/07/24

英国における科学的助言

先週水曜日からロンドンに出張し、本日帰国した。
王立協会、議会科学技術局、ビジネス・イノベーション・技能省で、英国における科学的助言のあり方に関して意見交換をしてきた。

英国は、政府に対する科学的助言のあり方に関して早い時期から検討を行ってきた国である。
1990年代、BSE問題の際に政府における科学的知見の取扱いに対して厳しい批判がなされたことから、検討が始まった。
その後、ドイツや米国、EU等でも同様の検討がなされてきた。
そして現在、福島第一原発事故の後の科学的助言の混乱があって、日本でも科学的助言のあり方が問題になっている。

今回の訪英で得た情報のうち、特に興味深いのは次の2点である。

・つい最近(7月20日)、英国貴族院の科学技術委員会は、各省庁の主席科学顧問の役割と機能に関する調査を立ち上げた。主席科学顧問が独立した助言を提供できているか、エビデンスに基づいた政策形成を確保しているか、といったことについて調査するとしている。

http://www.parliament.uk/business/committees/committees-a-z/lords-select/science-and-technology-committee/news/chief-scientifiic-advisers-inquiry-launched/

・必ずしも政府に対する科学的助言のあり方とは直接関係しないが、たまたま同じ日に、BBCが報道における科学的知見の取扱いの中立性・正確性に関する評価報告書を公開した。前年より専門家を招いて検討を行っていたものである。

http://www.bbc.co.uk/bbctrust/our_work/other/science_impartiality.shtml

英国は、政策形成における科学の役割に関する検討について、明らかに先進国であるといえる。今回の意見交換では、英国は他国における検討状況は参考にしていないと明言していた。それはそれでどうかとは思うが、英国が自らの力で科学的助言のあり方に関する検討の道を切り拓いていることは確かである。
その先端的な取組みをウォッチしていく必要はありそうだ。

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