2011/04/24

大震災と第4期科学技術基本計画

本年3月に閣議決定されるはずだった第4期科学技術基本計画は、大震災の影響を受けて再検討されることになり、今後どうなるのか、まだ見通しがついていない。
小幅な見直しということになれば7月頃に、大幅な見直しということになれば10月頃に、閣議決定の運びになるといわれている。

だが第4期基本計画の何が見直されるのか、についてもまだ決まっていない。
それは、総合科学技術会議の考え方だけでなく、政権の考え方にも左右されることになる。
科学技術分野でも全面的な震災対応シフトをしくべきだという政権の意思があれば、相当大幅な見直しがなされることになるだろう。

現段階で、一つ出てきている意見で有力であると思われるのが、「セキュリティ・イノベーション」の概念の導入である。
第4期科学技術基本計画では、「ライフ・イノベーション」と「グリーン・イノベーション」が2つの大きな柱とされたが、これに加えて「セキュリティ・イノベーション」を第3の柱として付け加えようという意見である。
産業競争力協議会(COCN)が中心になって提唱している。

多くの関係者は、この意見はきわめて「受けが良い」という第一感をもつだろう。
政治家にも、官僚にも、世論にも、すんなり受け入れられそうである。

「ライフ」と「グリーン」もそうだが、「セキュリティ」もその語が表す意味の範囲が曖昧であるところがまた都合が良いのである。
だから、産業界にも、大学にも、受け入れられやすいだろう。

個人的には、「ライフ」と「グリーン」を特に強調することのwisdomにも懐疑的なので、「セキュリティ」にも手拍子で賛成ではない。
日本の本質的な課題は、「ライフ」でも「グリーン」でもなく、「セキュリティ」でもなく、別のところにあると思っているからだ。

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