2011/01/20

産学の役割分担

最近、産業界の方とお会いする機会が多い。

興味深く感じるのは、民間企業の方の産学連携に対する考え方だ。
最近、日本国内でも海外でもひたすらイノベーションが叫ばれ、大学研究も経済・社会的貢献を意識すべきだということがよくいわれる。
日本経済、あるいは先進国経済の現状を考えれば、常識的な考え方かもしれない。

だが実際には、民間企業は、意外なほど大学研究にイノベーションを期待していないようだ。
これは、最近産業界の方にお会いして感じる実感だ。
民間企業の方は、むしろ、大学と民間企業の役割分担こそ重要だと考えている。

もちろんこれは、大学と産業界が連携すべきではないということではない。
だが、大学は企業が取り組むことの出来ない基礎研究に焦点を当てるべきで、企業はその中から生まれてきたブレークスルーを見つけて活用すべきだ、という伝統的な認識が現在も多数派であるようだ。

つまり、もっとはっきりいえば、大学はそれほど直接的な経済・社会的貢献を意識する必要はない、と民間企業は考えているのである(少しはっきりいい過ぎかもしれないが)。

それでは、昨年末に大枠が決定した第4期科学技術基本計画の考え方はどうだろうか。
同計画は、イノベーションと徹底した産学官連携を強調している。
残念ながら、産業界の認識からずれた方向に行っているように思えてならない。

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