2010/12/24

Scientific Integrity

米国政府部内で検討が進んでいた科学の健全性(Scientific Integrity)に関する原則が、ついに決定・公表された。
http://www.whitehouse.gov/sites/default/files/microsites/ostp/scientific-integrity-memo-12172010.pdf

この原則は、オバマ大統領が就任間もなくの2009年3月に出した指示に基づいて策定されたものである。この指示の中で、オバマ大統領はジョン・ホルドレン大統領府科学技術政策局(OSTP)長官兼大統領補佐官(科学技術担当)に対して、「政府の政策決定における科学の健全性を回復する」ための勧告を120日以内に策定するよう指示していた。
http://www.whitehouse.gov/the_press_office/Memorandum-for-the-Heads-of-Executive-Departments-and-Agencies-3-9-09/

オバマ大統領がこの指示を出したのは、ブッシュ政権期に米国政府機関内部で科学者が不当な政治的圧力を受けたり、科学的知識が歪めて用いられたりしていたという批判があったことを受けたものである。

オバマ大統領が指示を出した後は、政府部内の調整が難航し、期限を過ぎても勧告はなかなか策定されなかった。それがようやく発表されたのである。

ただ、今回発表された内容も、原則論の域をでておらず、今後120日以内に各省庁は具体的な措置状況を報告することとされている。なぜこれだけの文書を調整するのに1年9ヶ月もかかったのか、推し測ることすら難しい。

なお、この件に関しては少し前に雑誌『科学』に意見記事を書いた。
https://sites.google.com/site/satoyasushi/articles-etc/20109

この問題は、今後の科学技術政策でも大きな問題となる可能性があり、注視していきたい。

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